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逆瀬川健治・タブラ奏者
1978年より、パンディト マハプルシュ ミシュラ氏に師事。
1981年より、北インド古典音楽をはじめ、ジャンルを超えた活動を展開し、
  日本各地をはじめ、インド、台湾、香港にて、
  国内外の音楽家、舞踊家、アーティストと共演。 
  レコード、CD、TVのCM音楽、ラジオ(NHK, 東京FM. etc.)での演奏、
  音楽大学、カルチャースクールでの講演、タブラ教室での指導も行う。
2001年 初めてのリーダーアルバム「にぎみたま」を発表。

http://homepage2.nifty.com/souhadou/

http://homepage2.nifty.com/souhadou/sakusaku/4_1.htm

楽器について
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タブラ(Tabla)
タブラとは、アラビア語起源の言葉で“太鼓”を意味します。
高音と低音のふたつの太鼓を、指や手のひらで叩く打楽器ですが、
叩く場所によっていろいろな音色がでるようにつくられ、
それぞれの音に呼び方があり、叩きかたを言葉で憶えてゆくという仕組みになっています。
高音の太鼓(ダヤ=右)は、正確に音を調律して(主音または副主音に調律)演奏します。
また、低音の太鼓(バヤ=左)の皮を手で押さえたり、擦ったりして、
歌のような表現が出来るように、いろいろな技術が考えられています。

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◆北インド古典音楽について      ・・・  解説 逆瀬川健治
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北インド古典音楽は(ヒンドウスタニ ミュージックとも呼ばれています)
13世紀頃に北インド地方に成立したムガール王朝の宮廷で発達した音楽です。

それは、演奏のやり方にルールを定め、そのルールを守りつつ
即興で演奏を展開していくことができるという形式の音楽です。

そのルールは、「ラーガ」と呼ばれる旋律の動きの規則と
「ターラ」と呼ばれる循環するリズムのシステムが柱になっています。

「ラーガ」は、旋律の動きの規則を定めたものですが、それぞれのラーガに
演奏する時間帯、ラサといわれる表現する感情なども定められています。
時間帯が定められているので、
それぞれの時間の自然観察から生みだされた旋律の表現手法も考えられています。

「ターラ」は、リズムを循環すると考えることを基盤にして構築されたリズム理論です。

周期の1拍目は「サム」と呼ばれ、はじまりの拍であると同時に、
変奏の最後に帰結する拍でもあります。
このように、周期のはじめと終わりを同じところに定めているところは、
輪廻転生の思想につながるようにも感じるところです。
また、2と3の組み合わせで、いろいろな数で循環するリズムをとらえてゆく方法は、
長い数でもシンプルにとらえてゆきやすくしています。
7拍子=3+2+2、10拍子=2+3+2+3,というようにリズムを分割して考えています。
 
演奏は3人でやられるスタイルが一般的です。
旋律でラーガを表現する者、ターラのリズム理論に従って表現する者、
そして、音楽の中心となる主音、副主音を持続音(ドローン)として流し続ける者、
という役割の3者の音空間のなかで、それぞれのルールに従いながら、
即興で音楽が展開していきます。
 
一般的な形式では、はじめにアーラープと呼ばれる、
ラーガを無拍でゆっくりと歌ってゆく独奏からはじまり、
ジョールという拍節感のある部分、ジャーラというスピード感のある部分を経て、
ガットと呼ばれるところから、打楽器が加わり、
ターラの規則の上で合奏をしてゆきます。
この部分では、決められたリズムサイクルの上で演奏してゆきますが、
その中で、同じ長さのフレーズを3回繰り返して、
最後の音を1拍目のサムにもってゆくティハイ
と呼ばれる合図によって、意思疎通をはかったりしています。
ゆっくりとしたスピードから、徐々にテンポをあげてゆき、
最後には「ジャーラ」と呼ばれるとても早いスピードになって終わります。

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Performer